• 書名:社内プレゼンの資料作成術
  • 著者:前田鎌利
  • 出版社:ダイヤモンド
  • 出版年:2015年

  • 書名:社外プレゼンの資料作成術
  • 著者:前田鎌利
  • 出版社:ダイヤモンド社
  • 出版年:2016年

最近、人にOfficeの使い方を教えるという機会があったので、プレゼンテーション関係の書物などを読み漁っている。

そんな中で、なかなか秀逸だったのが、このシリーズだ。

あ、これは使えるな、

というテクニックが多く載っていた。

例えば、以下のようなテクニックが載っている。

  • 目線を意識したスライドの作り方
  • 写真の有効活用の仕方
  • 色の使い方
  • プレゼンテーション用のグラフの作り方

などなどである。

正直言って、ここまでやる!? といったレベルで、確かにここまでやれば、伝わるだろうなという徹底ぶりだ。

この本のルールに従ってプレゼンテーション資料を作成すれば、かなり見やすい資料を作れるはずである。

非常に良い本なのだが、注意するべき点もある。

対象としているプレゼンテーションがちょっと狭いということである。

プレゼンテーションなんでもというよりは、明確な目的を絞って書かれている。

社内のプレゼンテーションは、自社内の企画の提案がメインであり、社外のプレゼンテーションは、提案営業がメインという印象である。

プレゼンテーションって、別に提案って意味だけじゃないよね? と確認したくなる。

しかも、プレゼンテーションってそれしかないでしょ的な書き振りで、非常に読みやすいのだが、それが逆に誤解を与える内容になっている。

概ね確かに企業活動で行われるプレゼンテーションは、それらがほとんどかなとも思うのだが、いわゆる議論を要するプレゼンテーションは、この内容だと厳しいかなと思った。

特に教育や研究の発表で、この本に沿ってプレゼンテーション資料を作ったら、逆にさっぱりわからないということになるだろう。

大雑把に書くと、細かいことは良いので、言いたいことを伝えようという思想なので、伝わるだろうが、これじゃ細かいことが全然わからんな、という印象である。

結局、一方向からの視点では、新しい考え方は生まれないので、教育や研究の発表などの議論が必要なプレゼンテーションは、この本の考え方だと、おそらく、「そうですか」で終了して、議論にうまく発展しない可能性があるかね。

その他、内容の作り方が具体的に書いてあるわけではないので、内容がなければテクニックを活かせないし、部分部分に著作権の侵害になりそうなテクニックもあるので、倫理観は別途しっかりと学ばないといけない。

それでも、テクニックとしては、十分に使えるものが多い。

良い意味でも悪い意味でも、テクニック本なのだが、テクニック本としては、非常に良い本だと思われる。