• 書名:『絵でわかる地図と測量』
  • 著者:中川雅史
  • 出版社:講談社
  • 出版年:2015

地図は、今日ほとんどの人が日常的に触れている必需品である。一昔前までは、日常で使う地図と言ったら、せいぜい車の中に積まれたままになっている道路地図くらいだったが、ケータイとカーナビの普及でなくてはならないものとなった。

しかし、多くの人が地図はどのようにして作られているかを知らない。それがこの本には書かれている。

それだけではない。地図を仕事で使っているプロでさえしっかりと知らないことが多い、細やかだが重要なことがこの本にはしっかりと書いてある。

こう紹介すると、小難しい本であるように思えるが、講談社の「絵でわかる」シリーズの一冊に恥じることなく、数多くの絵で、地図の作り方をわかりやすく説明してくれる。

例えば、測量だ。路上で作業着の屈強のおじさんたちが重そうな測量機材を覗いている光景は誰もが一度は見たことがあるのではないだろうか。だが、その実、何をやっているのかをしっかりと知る人は少ないだろう。実は、肉体労働のイメージのある測量は、計算に次ぐ計算を必要とする知的作業であり、寸分の狂いさえ許されないようなデリケートな作業なのだ。それが絵を交えながら、わかりやすく説明されている。

GPSについても絵を見てみると非常にわかりやすい。ケータイやカーナビでお世話になったことのない人はいないだろう。どのような宇宙との更新をすると、自分の位置を知ることができるのかがわかる。そして、「あれ、一本隣の道を歩いているぞ?」といったたまにGPSがずれるのがなぜかが原理として理解できる。

そのほか、内容としては、縮尺や精度といった地図の読み方から、丸い地球をどのようにして平面の地図とするのか、測量機材や航空機を用いた古くからの地図作成方法から、GPSやリモートセンシング、レーザースキャニングといった最先端の手法まで幅広く扱われている。

これから地図を学ぼうとする学生にとっては、必読書となる一冊だろう。それどころか、地図を専門的に扱っているプロにとっても、知識を再確認して、より理解を深められる良い本である。

この本を読めば、地図の作り方を隙なく学べることは請け合いだ。この本に書かれている内容をしっかりと知っておけば、地図を用いるどの分野でも地図を使いこなせるはずである。