先月(10/22~23)に日本災害情報学会が行われた。

こちらは、日本大学の文理学部が舞台となった。初めて行ったよ。

ついでに言うと、日本災害情報学会に行ったのも初めて。

なかなか地理系とは雰囲気が違う学会だったね。

我々はどちらかというと現象に対するメカニズムの方に興味があるので、アンケートとかって補助的にしか扱わないんだけど、

なんか、災害という言葉自体が、人間に対する災厄であるということを考えると、人間が何を考えているのか、といったような心理学とか、認知科学的なアプローチに入っていくことになるんだろうね。

普段とはちょっと違う雰囲気を味わえたよ。

面白かったのは、地理教育セッションがメインだったけど、以下のところかな。

○過去1600年間の災害事例を可視化する―災害年表マップの公開―

防災科研の人がやっていた発表。

この夏に公開されたので、結構気になっていた。

簡単に言うと、日本の災害データベースを作りましたよってお話で、それを地図にしましたということだった。

非常に面白いお話だと言える。

ただ、数値化できるところと数値化できないところをどのように分けているのか、それが不明瞭だったような気もする。

これから発展していくそうなので、今後にも期待したいところだ。

サイトは以下の通り。

災害年表マップ

○防災情報共有システムの開発と平成27年9月関東・東北豪雨事例に基づく検証

これは、日立の人々が防災情報を共有するシステムを作りましたよ、といったお話である。

話自体は、非常に面白かった。

ただし、このGIS学会っぽい感じの発表であった。

それは、何かというと、システム的なお話はいろいろとできているのに、それをいざ活かそうとしたところがまだまだ甘いということだ。

地理学会みたいに、メカニズム面もけっこう抜け漏れがあった感はいなめない。

質問の中で、システマティックな閾値の話と、メカニズム的なお話が出ていて、考えていないわけではないみたいだが、もう少し、しっかりと構成をした方が良いと思われる。

一方で、システムとしては、日立製作所というでかい母体を活かした特性があって、非常に今後の期待ができるシステムであるという印象もあった。

発表内であったが、行政は縦割りで横のつながりがよくできておらず、それは隣接する市区町村で違うシステムを導入し合って、連携ができないといったことも挙げられる。

そういった面を払拭してくれるパワーが日立にはあると思うので、是非とも期待したい限りである。

○家庭への展開をめざした学校防災教育の実践と考察―長野市立真島小学校を事例として―

小学校の防災教育をどのように行っていくのか。

そういった内容の発表だった。

非常に興味深かったのが、その防災教育の検証を家庭レベルにまで持ち込んで検証を行っている点だ。

基本的にこの手の話は、やる側のマンパワーの問題と、やられる側の面倒くささが相まって、表面的で中途半端な検証で終わるケースが多い印象がある。

特に教育というものの効果の検証は、厳密に言うと、そういうシーンにたったときにのみできるものであり、防災教育の場合は、実際に災害に遭ったときにしか検証できない。

そういった検証は、なかなか難しいため、概念的な検証もどきで終わってしまう。

しかし、これは何度も繰り返して検証を行っていたようで、地域防災の助けにもなっていた。

その上、今後継続していくための施策にまで言及をしており、非常に良い発表であったと思われる。

○防災ラジオドラマの聴取効果に関する考察―神戸市長田区真陽小学校における実践事例から

これは、神戸の小学校で、お昼の放送に防災ラジオドラマを行ったという内容だ。

ラジオドラマだけではなく、その他、各種防災情報をお昼の放送で流し、それに対してのアンケートを実施したということだった。

お昼の放送で防災を扱うというのは、なかなか面白い考え方で、効果も出ているようで、各地で応用できる可能性を秘めていると思えた。

一方で、阪神淡路大震災の流れをくんでいる神戸市だからこそできた話でもあるかもしれない。

これは非常に良い方法だと思われるので、どこか別の場所、例えば東京の小学校などでも試して、効果の検証と比較をしてもらえると、今後の学校における防災教育の方法として、非常に良い事例を残すのではないだろうか。

そんなこんなの感じで、「んー、そんな感じかー」とか思いながら、しかし、非常に勉強になったイベントであった。

まぁ、個人的な一番の収穫は、朝倉書店の古い本を90%OFFで買えたことだったんだけどね。

来年も時間が合えば参加してみようかと思うが、どこでやるか次第かね。