本の紹介ばかりしているが、本来は、こちらがこのサイトの趣旨なので、ちらほら書き進めていきましょう。

※結局、本の紹介の方が書きやすいだけなのだが。

GISを扱うためには、自分でプログラムを組む方法もあるが、既存のGISプログラムを利用するのが手っ取り早い。その最たるものがGISソフトである。

※ここでは、いわゆる、パッケージング・モジュール化されていないものも含めて、GISプログラムと呼び、ある程度まとまったGISプログラムをGISソフトと呼ぶ。

GISとは、GIS(Geographic Information System:地理情報システム)とはで書いたとおり、「地理的な情報をコンピュータで処理するシステムであり、データの編集、検索、可視化、分析などの機能が含まれる」(竹中ほか. 2009. 『人文地理学』. ミネルヴァ書房)である。

もう少し、硬く言うと、GISとは、地理情報を系統的に「取得・構築」し、「管理」し、「分析」し、「総合」して、「表現・伝達」するものである(野上ほか. 2001. 『地理情報学入門』. 東京大学出版会)。

近年、GoogleMapGoogleEarthの登場により、GISを使うのはぐっと一般社会に近づいた。

それどころか、FOSS4GなどのフリーのGISソフトが乱立し、全てを把握することすら困難な状況となっている。

私周辺と個人的な感覚だが、やはり汎用性がある中で一番有名なGISソフトは、やはりEsri社のArcGISだろう。

だが、用途を特化させたりさせた簡単なGISや、QGISような無料でArcGISに迫るようなGISも出てきている。

私の使ったことのあるGISソフト簡単にまとめてみた。

以下の表は、あくまで私個人の所感によるものであり、かつ、使用時期がまちまちなので、その後の発展によって、変わっている可能性があることをご容赦いただきたい

ソフト名 販売元
(著作権者)
料金 日本語 UI 汎用性 難度 おすすめする
利用者
ArcGIS Esri 有料 GUI
  • 地図関係の研究者・学生
  • 仕事で地図を作る方
QGIS OSGeo財団 無料 GUI
  • 地図関係の研究者・学生
  • 無料で汎用的なGISを使いたい方
MapInfo  PitneyBowes 有料 GUI
  • 地図関係の研究者・学生
  • 高度なGIS専門処理を行いたい方
MANDARA 谷 謙二 氏 無料 GUI
  • GIS初心者
  • 統計地図を簡単に作りたい方
カシミール3D DAN杉本 氏 無料 GUI
  • GIS初心者
  • 3Dの地形を見たい方
GMT  Paul Wessei, Walter H. F. Smith 無料 × CUI 超高 超難
  • 凝った地図を作りたい方
  • シミュレーション結果など同じフォーマットの地図を大量に作りたい方
GoogleEarth Google 無料 GUI
  • 一般人
  • GIS初心者
  • 手軽くGISを使いたい方
GoogleMap Google 無料 GUI 超易
  • 万人
地理院地図 国土地理院 無料 GUI
  • GIS初心者
  • 国土地理院の地図を確認したい方
GoogleMapsAPI Google 無料
一部有料
CUI
  • 自分でWebGISを作りたい方
OpenLayers  OSGeo財団 無料 × CUI
  • 自分で制限なくWebGISを作りたい方
ArcGIS online Esri 有料
一部無料
CUI
/GUI
  • 自分で高度な処理を行うWebGISを作りたい方

これ以外にも、インフォマティクス社のSISや東京カートグラフィック社の地図太郎、無料で使えるGRASSなどさまざまなGISソフトがあるので、調べてみると良い。

ちなみに、GISと似て非なるものとして、CADというものがある。

AutoDesk社のAutoCADなどが代表格といえる。

GISもCADも一般的によく都市計画などで用いられている。

近年、CADにGIS的な機能がつき始めているため、区別が付かない方が多く居るという事実もあるが、両者は決定的に違う。

CADは設計図や計画図などを作成するための製図ソフトである。

つまり、基本的には直交座標系で、x軸とy軸(簡単にいうと紙に落とした時の縦軸と横軸)は直角に交わるという前提で作られている。

一方で、GISは、地図ソフトである。

つまり、球状(実際には地球楕円体)という3次元の地球を2次元の地図に投影(変換)しているという前提で作られている。GISの場合は、x軸とy軸が直角に交わるとは限らない。

この話は、投影法や測地系などの座標系のお話とリンクさせなければ、いまいちわかりにくいが、GISとCADは決定的に違うのである。

極端に簡単に言うと、CADはであり、GISは地図である。

CADを使える場面というのは、地球が丸いという現実を無視できるほど狭い範囲内でだけである。

広域を対象とする場合は、地球の丸みによって誤差が生じてくるため、GISを用いる必要があるのである。

両方とも、2次元のモニタに映されている上に、人間が生きていく上で、地球の丸みというものをなかなか実感できないため、とかく忘れがちだが、「地球は丸い」それを加味できるのがGISソフトの最大のメリットである。