• 書名:『自然地理学』
  • 著者:松山 洋・川瀬久美子・辻村真貴・高岡貞夫・三浦英樹
  • 出版社:ミネルヴァ書房
  • 出版年:2014年

その名の通り、自然地理学を広く説明した本である。

地理学とは で書いたとおり、地理学を系統地理学という考え方でとらえたとき、自然地理学か、人文地理学か、という二つに分けられた中の片割れである。

ただし、自然地理学といっても、かなり幅広い。

それでも、この本は、限られた紙面の中に、幅広く自然地理学に類する学問が詰め込まれている。

具体的に挙げると、以下の通りである。

  • 地形学
  • 気候学
  • 水文学
  • 植生地理学
  • 地生態学
  • 土壌学

ともすれば、これらは高校では、地学に分類されるような理系分野の学問だ。

しかし、本書の最初に書かれているように、文系学生や初学者向けに書かれており、非常にわかりやすい。

特に私がこの本で良いと思ったことは、○○学とは何か」がしっかりと書かれているところだ。

よく、教科書や一般の本では、○○学は、すでに周知の事実であるかの如く書かれていたり、しっかりとした定義がないまま、読むことによってなんとなくわからせようとするものが多い。

しかし、この本については、しっかりと学問の定義が書かれており、そこがまず第一に読者へのイメージを確立させる手助けとなっている。

300ページに満たない中で、これだけ幅広く紹介をしているので、ものすごく細かいことが書いてあったり、これを読めばその学問ををすべて理解できるといった本ではないが、その入り口としては、非常に読みやすい本だと思われる。

地理学者には、幅広い地誌が要求される。

そういった意味では、自然地理学に関して、まず最初に読んで、全体像をつかんだり、

読んでみて、その中から興味のわいた分野を突き詰めてみたり。

といったにように、ここからはじめていける本である。