このサイトは、こちらの方がメインになる予定なので、最初の方は、おそらく、仰々しいお題目について、書いていくことになると思われる。
私の本業の方と連動しつつ、徐々に増やしていって、最終的に宝石をちりばめた一枚の絵画のようになれば良いかと思う。
最初に語らなければならないのは、地理学とはなんぞやというお話かと思う。
よくあるような形で、辞書で調べてみると、以下のように出てくる。
ちり-がく【地理学】地球表面のいろいろな自然および人文の現象を研究する科学。主に地形・気候・土壌などの自然現象を対象とするものを自然地理学、産業・社会などの人文的事象を対象とするものを人文地理学という。 『デジタル大辞泉』(松村. 2012. 小学館)より |
おおむね、私の認識と同じである。
この辞書の説明を総じて言うと、なんでも地理学になる可能性があるということだ。
「学」などという言葉が付いているので、難しく感じるかもしれないが、要は地理は、地球の理というその名の通りの学問分野なのだ。つまり、地球上で起こっている全てが地理学の対象となり得るものの一部なのだ。
中学や高校で習う地理の授業が地理学の全てかと言われると、否である。むしろ、学校教育で習う地理は、かなり偏っていると思う。
私の知り合いの中では、卒業研究でなかなかユニークなことをやった人々が多くいた。
在来種のアリと外来種のアリの餌の輸送距離について調べた者がいたが、「それって完全に生物学だよね?」というツッコミを受けながらも「地理学だ」と言い張った。
「ご当地グルメこそ、地理学だ!」と言って、地元のご当地グルメツアーをした者もいた。
一聞は、「ん?」と聞きなおしたくなるテーマも、地理学として認められた。
前者は、在来種と外来種という括りは、地域差によって生まれ、地域間の運搬によって移動し、流入してくる。また、細いスケールで考えてみると、巣の分布や、餌の輸送距離は、地図に起こしてみてみると、なるほど狭い範囲だが、地理学だと感じる。
後者についても、ご当地グルメはその土地の地域性を表す産業だ。場所によっては、歴史的な経緯や気候的な特徴も含んでくるかもしれない。言葉だけだと、最近の流行に乗っかったチープさは感じる人にとっては感じるかもしれないが、見方をちょっと変えて地理学的に考えてみると、やはり地理学の範疇に収まるのである。
つまり、地理学とは考え方だ。
生物を取り扱う生物学、物質の動きを解く物理学、元素の神秘を解き明かす化学、過去を探求し未来への道しるべを得る歴史学、文字と人の考え方を感じる純文学 などなど、様々な学問が存在しているが、それらとはちょっとニュアンスが違うように思う。
あえて言うならば、先ほど述べたとおり、地球の理を解き明かす学問なのだろう。
個人的には、地図を使えばなんでも地理学だと思っている(完全に暴論だが)。
それくらい幅広い学問なのだと思ってもらえれば良い。
ところで、
そんなことを言っていても、取り止めがつかないので、一般的には、ざっくりと以下のようにまとまっている。
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地図学
地理の要となる地図に関して研究する分野。投影法から、測地系、地図表現など新たな開発研究からその歴史に至るまで扱っている。GIS(Geographic Information System:地理情報システム/Geographic Information Science:地理情報科学)もこの一部分に入る。
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地誌学
ある地域について着目し、自然・人文の双方から情報をまとめ、研究する分野。地域の見方について、静態地誌、動態地誌、比較地誌に分ける方法もある。もっとも、こういう分け方をしているのは、中高の教育が多く、大学以上では、地誌学的な研究をする際には、両方の視点から見ることが多いイメージがある。
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静態地誌
対象とする地域について、地形、気候、水文、歴史、産業、人口、交通など分野ごとに情報をまとめ、研究する方法。
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動態地誌
対象とする地域について、その地域の特徴的な部分について、様々な分野を複合させながら情報をまとめ、研究する方法。
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比較地誌
対象とする地域について、別の地域と比較することで情報をまとめ、研究する方法。
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静態地誌
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系統地理学
地球上で起こる現象を自然科学、人文科学の各分野に分類して、研究していく。
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自然地理学
自然に起こる現象について扱う地理学。詳細な分野を挙げると切りが無いので、『自然地理学』(松山ほか. 2014. ミネルヴァ書房)を参考に以下に代表的な分野を挙げる。
- 地形学
- 気候学
- 水文学
- 植生地理学
- 地生態学
- 土壌学
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人文地理学
人間が起こす現象について扱う地理学。詳細な分野を挙げると切りが無いので、『人文地理学』(竹中ほか. 2009. ミネルヴァ書房)を参考に以下に代表的な分野を挙げる。
- 人口地理学
- 都市地理学
- 農業地理学
- 工業地理学
- 経済地理学
- 政治地理学
- 観光学
- 文化地理学
- 歴史地理学
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自然地理学
この通り、代表的なものを挙げるだけでも、この数になる。地球上のありとあらゆる現象が地理なのだ。
やはり、地理は、高校までの教科として、歴史と地理という認識を受けている。社会科の中で、必修の世界史でも、日本史でもない、理系のためのセンター試験科目地理という印象が強い。
しかし、本当は様々な分野を横断的に扱う考え方をメインとした学問なのである。様々な分野を扱える地理を基軸に、今まで全く関わりを持てなかった学問同士を関わり合わせることのできる学問でもある。
地理を学ぶことによって、どの分野についても+αをもたらすことができるのではないだろうか。
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